手根管症候群は、手首にある手根管で正中神経が圧迫されることによって起こる疾患です。主な症状としては、手のしびれや痛みが挙げられます。手根管症候群の原因は、長時間のパソコン作業や手首の酷使が考えられます。
手根管症候群とは?
手根管症候群とは、手のひらの付け根にある狭い通路「手根管」で、正中神経が圧迫されることで生じる疾患です。症状として手や指にしびれや痛みをもたらし、特に親指、人差し指、中指に影響を及ぼすことが多いです。原因としては、特定の動作や姿勢が関与することが多く、例えば長時間のコンピュータ作業や手作業がリスク要因とされています。症状が軽度の場合には、安静や生活習慣の改善、装具療法などで症状が和らぐことがありますが、重症化すると日常生活に支障を来す可能性があります。手根管症候群と似た症状を呈する疾患もあるため、鑑別診断が重要です。そのため、手根管症候群の早期診断と適切な治療は非常に重要で、医師による診察を受けることが推奨されます。理解を深めることで、症状の進行を防ぐための適切な予防策を講じることができます。
手根管症候群の症状
手根管症候群は、手首の内側にある手根管で正中神経が圧迫されることにより引き起こされる状態です。この状態は、特に手や指に感覚異常や運動障害をもたらします。主な症状には、親指、人差し指、中指のしびれや痛みがあり、特に夜間や明け方に症状が悪化することがあります。また、日中の手作業で症状が悪化することもあります。また、手の力が弱まり、細かい作業がしにくくなることがあります。症状が進行すると、親指の筋肉に萎縮が生じることもあります。放置すると日常生活に支障をきたす可能性があるため、症状が顕著になる前に医師による診断と適切な治療を受けるようにしましょう。
手根管症候群の原因
手根管症候群は、手首にある手根管というトンネルが狭くなり、正中神経が圧迫されることで発症します。主な原因は3つ挙げられます。
まず第一に、長時間にわたる手首の屈曲や伸展といった動作の繰り返しや、手首に負担をかけるような仕事や趣味によって、横手根靱帯が肥厚し手根管を狭めることがあります。特に、コンピュータを使用する際や細かい手作業を頻繁に行う場合に、この現象が起こりやすくなります。第二に、関節リウマチや骨折による変形、手関節部にできた腫瘍などによって物理的に手根管が狭くなる場合があります。最後に、妊娠、閉経、糖尿病、甲状腺機能低下症、透析などの全身性の疾患は、手根管症候群のリスクを高める要因となることがあります。
これらの要因が組み合わさることで、手根管症候群のリスクが高まります。日常生活の中で手首への負担を軽減し、健康的な生活習慣を維持することが、この症候群の予防に繋がります。
手根管症候群の検査・診断
手根管症候群の検査・診断プロセスでは、患者の具体的な症状や病歴を詳細に把握することが初めのステップです。特に、症状の現れ方やその原因となる要素を探ります。続いて、診察を行い、手首の動きや筋肉の感覚に異常がないかを確認します。ティネル徴候やファレンテストは、手根管症候群の診断の補助として用いられることがあります。このようなテストにより、神経の圧迫状況を推測することができます。さらに、神経伝導速度検査や筋電図検査といった電気生理学的な検査が行われ、正確な診断をサポートします。画像診断として、超音波やMRIが用いられ、手根管内の構造を詳細に評価することが可能です。また、頚椎症性神経根症など、他の手のしびれをきたす疾患と区別が難しかったり、合併している場合もあるため、必要に応じて頚椎MRIなどの検査も行います。必要に応じて、より詳しい検査が可能な医療機関への紹介を検討します。
※ティネル徴候:手根管部を叩打することで正中神経の圧迫による症状を誘発するテスト
※ファレンテスト:手首を屈曲させることで症状を誘発するテスト
手根管症候群の治療方法
手根管症候群の治療方法には、保存療法と手術療法の2つがあります。保存療法としては、手首の安静を維持するために装具を着用し、炎症を軽減するための非ステロイド性抗炎症薬の内服が一般的です。さらに、ステロイド注射によって手根管内の炎症を抑える治療も行われます。
・装具療法では、手首を適切な位置に固定することで、正中神経への圧迫を軽減します
・ステロイド注射は、炎症を抑える効果が期待されますが、繰り返し行うことは推奨されておらず、副作用のリスクもあります。
症状が軽度の場合、理学療法や作業療法によるリハビリテーションが効果が期待できる場合があります。これらの治療方法で症状が改善しない場合や、症状が重度の場合は、手術が検討されます。
手術では、手根管を圧迫している靱帯を切開することで、正中神経への圧迫を軽減します。手術は一般的に日帰りで行われることが多く、術後の回復も比較的早いとされていますが、個人差があります。手術が必要な場合には、適切な医療機関をご紹介します。どの治療法が適しているかは、症状や生活スタイルにより異なるため、医師と相談しながら最適な方法を選びましょう。