腰椎分離すべり症とは
腰椎分離症は、腰椎の後方にある椎弓の一部が連続性を失い、分離した状態を指します。この分離によって腰椎の安定性が低下し、時間の経過とともに椎体が前方にずれていくと「腰椎分離すべり症」となります。
分離症は主に**青少年期のスポーツや労働による繰り返しの負荷(疲労骨折)**が原因と考えられています。腰椎分離症の段階では腰痛が主な症状ですが、すべり症まで進行し神経が圧迫されると、下肢の痛みやしびれ、筋力低下などが現れることがあります。
腰椎分離すべり症は、適切な診断と治療により症状の緩和を目指すことができます。
腰椎分離すべり症の原因
腰椎分離症は、特定の腰椎に繰り返しストレスがかかることによって発生します。
特に成長期における激しいスポーツや反復動作を伴う活動が要因となり、疲労骨折として起こるケースが多く見られます。
また、遺伝的要因が関係することもあり、家族に同様の症状を持つ方がいる場合は注意が必要です。
これらのリスクを理解し、無理のない運動習慣や正しい姿勢を心がけることで、発症の予防を目指すことができます。
腰椎分離すべり症の症状
最も一般的な症状は腰痛で、長時間立つ・歩くなどの動作で悪化することがあります。
また、分離部やすべりによって神経が圧迫されると、脚の痛みやしびれが出現し、長時間の座位が困難になることもあります。
重度になると筋力低下により歩行が難しくなる場合もあります。
症状の程度には個人差がありますが、早期に診断を受け、継続的なケアを行うことが大切です。
検査方法
診断では、まず問診と身体診察により症状の経過や生活状況を確認します。
- X線検査:骨の構造や分離・すべりの有無を確認します。
- MRI検査:椎間板や神経の状態を詳しく観察します。早期段階の骨変化を捉えることも可能です。
- CT検査:分離部の形態を詳細に把握するのに有用です。
これらの検査結果を総合的に評価して診断を行い、治療方針を検討します。
必要に応じて、MRIやCT検査が可能な医療機関をご紹介いたします。
治療方法
保存療法
腰椎分離症の初期では、安静やコルセット装着によって骨癒合を目指すことがあります。
腰椎分離すべり症に進行した場合は、骨癒合よりも症状の緩和と機能改善を目的とした治療を行います。
- 薬物療法:痛みの緩和を目的に、医師の判断で鎮痛薬や抗炎症薬などが処方されることがあります。
- 理学療法:腰部の安定性を高めるため、ストレッチや筋力トレーニングなどを理学療法士の指導のもとで行います。
- 装具療法:必要に応じてコルセットを使用し、一時的に腰への負担を軽減します。
手術療法
保存療法で十分な改善が得られない場合や、神経症状が強い場合に検討されます。
手術方法は症状や病態によって異なりますが、神経の圧迫を取り除き、安定性を回復することを目的として行われます。
手術後はリハビリテーションを行い、徐々に筋力と可動性の回復を目指します。
当院では、手術が必要な場合に、同一法人の調布くびと腰の整形外科クリニック の医師と連携して治療を行っています。
