テニス肘とは
テニス肘(上腕骨外側上顆炎)は、肘の外側に痛みが生じる疾患です。テニスプレイヤーに多いことからこの名称がありますが、実際には日常生活や仕事での動作によっても発症します。
肘に付着する腱に繰り返し負担がかかることで炎症が生じ、物を持ち上げたり、握る・捻るといった動作で痛みが強くなることがあります。早期に適切な対応を行うことで、症状の進行を抑えることを目指します。
テニス肘の症状
肘の外側に痛みを感じ、手首を伸ばす・物をつかむ動作で痛みが強くなるのが特徴です。ペンを持つ、ドアノブを回す、歯ブラシを使うなど、日常の動作にも影響することがあります。
症状が進行すると、痛みが肘から前腕に広がり、力が入りにくくなる場合もあります。腫れや熱感、可動域の制限を伴うこともあります。これらの症状が続く場合は早めの受診をおすすめします。
テニス肘の原因
肘の外側に付着する腱(橈側手根伸筋腱)に繰り返し負担がかかることが主な原因です。
ラケットスポーツだけでなく、パソコン作業や荷物の運搬など、手首を緊張させながら肘を使う動作でも発症することがあります。筋力不足やウォーミングアップ不足もリスクを高めます。
日常の動作を見直し、適度なストレッチや休息を取り入れることで、発症リスクを減らすことが期待されます。
テニス肘の診断
問診と身体所見により、発症の経緯や症状を確認します。
肘外側の圧痛やトムゼン試験・中指伸展テストなどで痛みの部位を確認し、必要に応じてX線検査で骨の形態異常を評価します。
頚椎疾患など他の原因による痛みが疑われる場合は、追加検査を行って鑑別診断します。
正確な診断が、その後の治療選択において重要です。
テニス肘の治療方法
治療は、症状の程度や生活スタイルに応じて選択されます。
保存療法
まずは患部の安静と生活指導が基本です。
重量物を持つときは手のひらを上にして持ち上げる、肘や手首を同時に強く伸ばす動作を避けるなど、肘への負担を減らす工夫を行います。
初期対応として、RICE処置(休息・冷却・圧迫・挙上)が行われることがあります。痛みが強い場合には、痛みの緩和を目的としたお薬が処方されることもあります。
物理療法
理学療法士によるストレッチや筋力維持のための運動療法が行われます。
これにより肘周囲の筋肉や腱の柔軟性を保ち、再発予防を目指します。
超音波療法やテーピングなどが併用されることもあります。
注射療法・再生医療
慢性的な症状に対しては、ステロイド注射が行われる場合があります。炎症を抑えることを目的としていますが、回数や期間には制限があり、医師と相談のうえで判断します。
また、再生医療など新しい治療法が検討される場合もあります。詳細は医師にご相談ください。
手術療法
保存的治療で改善が得られない場合には、手術が選択されることもあります。
手術は損傷した組織の修復や除去を目的としており、医師が必要と判断した場合に行われます。
手術後はリハビリテーションを行い、徐々に機能回復を目指します。
テニス肘の予防
日常生活で肘や前腕の筋肉を休ませる時間をつくり、ストレッチを行うことが予防につながります。
長時間の作業は適度に休憩を挟み、スポーツ前後にはウォーミングアップとクールダウンを行いましょう。
サポーターの使用も肘への負担を減らす手段の一つです。使用方法については、医師や理学療法士にご相談ください。
